このようにモグラ被害を訴える声があるのですが、実はこれ、モグラの仕業ではないのです。
モグラが原因ではなければ、農作物に悪さをしているのは一体誰なんでしょうか?
モグラは100%肉食だから根や作物はかじらない
モグラは100%肉食なので農作物をかじるような農作物の被害を起こしたりはしません。
モグラの餌はミミズ・昆虫の幼虫・昆虫です。ニンジンやさつまいもなどの農作物は一切食べないことがわかっています。
モグラは大食漢であることが知られており、毎日自分の体重の半分の重量の餌を食べます。
体重60kgの人間が毎日30kgのご飯を食べることを考えるとその量がかなり多いとわかります。
ミミズはスパゲティーのようにツルンと吸いこみ、
昆虫の幼虫は丸まったのを伸ばしたから食べ、
ヤスデはせんべいを食べるようにバリバリと音を立てながら食べます。
モグラの口はこのように犬歯のような歯があり明らかに肉食動物の歯をしています。

画像はこちらから借用
まるで犬のようなしっかりとした犬歯がありますね!
このように感じた原因はモグラが掘った穴に住み着く他の生き物たちが原因だったのです。
その被害、犯人はモグラ以外です
モグラが原因だと思っている農作物被害の真犯人は、ネズミ、テン、ヤガ類の幼虫、アオマツムシといったような他の動物や昆虫です。
これらの動物や昆虫が農作物を食い荒らしているため
とモグラは濡れ衣を着せられているのです。
モグラが掘る穴は他の生き物たちにとっても身を隠す格好の場になり、特にネズミはよく住み着いて農作物を荒らす原因となっています。
アカネズミがモグラの穴で営巣して子育てをする姿などはよく目撃される光景です。
モグラが起こす作物被害は根の乾燥害
モグラが引き起こしていると考えられた農作物の被害は間接被害ですが、直接被害もあります。
それは作物の根の乾燥被害です。
農作物は土に根を張り、根から栄養を取り込むことで成長していきます。成長の過程では土に根を張ることが非常に重要な段階となります。
この段階でモグラが農作物の近くにトンネルを掘ってしまうと、農作物の根はトンネルのところで露出してしまい乾燥します。
乾燥した根はやがて栄養を取り込む能力を失い農作物自体も枯れてしまいます。
特に植えたばかりの苗の近くにモグラがトンネルを掘ってしまうと苗は大きくなることができません。
このようにモグラが起こす農作物の被害はトンネルの中で他の生き物が住んで悪さをしたり、モグラが掘ったトンネルで根が乾燥するをいったものなのでした。
『苗が育ちにくいなあ』
と感じた場合は引き抜く前に苗の近くを掘ってモグラのトンネルが無いか、根は乾燥していないかを確かめてみてください。
モグラ被害の一番注意すべき時期は苗植え
モグラが作物の下に一番トンネルを掘りやすいのは苗植えをした直後です。
モグラの餌となるミミズや昆虫の幼虫類は有機物が多い土に集まります。
それは有機物がそれらの生き物の餌になるからです。
苗土には腐葉土やピートモスなどの有機物が豊富に含まれており畑の土に分散していたも水やコガネムシの幼虫が苗土に殺到します。
モグラにとってはこれは好都合なことで、苗植えされた苗木の下を掘るとそこにあつまるミミズたちを効率的に取ることができます。
大食漢のモグラにとって苗木の下は食べ放題のお店のうようなもので、苗木の下の土にトンネルを掘って餌を取りに行くのです。
その結果苗木はうまく根を張ることができずに根が乾燥して成長できないという状態になってしまいます。

モグラが原因の農作物の被害総額

モグラが農作物に与える被害総額はどのくらいだと思いますか?
動物 | 被害総額 |
モグラ | 1482万円 |
ネズミ | 12417万円 |
イノシシ | 478167万円 |
シカ | 552719万円 |
【参考】農林水産省:野生鳥獣による農作物被害状況(平成29年度)
このように見るとモグラの被害はそれほど大きくないですね。
動物の体が大きいほど被害総額は大きくなっているとわかります。
体の大きさが同じネズミのほうが10倍の被害総額を出していることからモグラはそんなに悪さをする動物ではないのです。
しかし、その被害に悩む人が多いのも確かです。
まとめ
『農作物がかじられた!近くに穴がある!モグラだ!!』
これは誤解だとわかっていただけたと思います。
しかしながらモグラが穴さえ掘らなければこうした被害はなくて済みますよね!
モグラ駆除は被害がある前に、モグラを寄せ付けない予防が大切です。
モグラ対策バッチリの苗木の植え方はこちらを参考にしてみてください。
