モグラは日本に何種類いるか知っていますか?
モグラは分類学的には食虫目に含まれていて、モグラと呼ばれるモグラの中にはモグラ亜科とヒミズ亜科があります。
日本にいるモグラの種類はモグラ亜科6種類、ヒミズ亜科2種類の合計8種類いると考えられます。

モグラの分類学的な区別
現在食虫目はトガリネズミ目と呼ばれており、トガリネズミ目の中にモグラ科とトガリネズミ科があります。
そしてモグラ科の中にモグラ亜科とヒミズ亜科があり、特にみなさんがイメージするモグラはモグラ亜科に属する6種類のモグラたちです。
ややこしいと思うので下の図を参照してください。
今回紹介するのはモグラ科に属する6種類のモグラと2種類のヒミズです。
モグラ亜科の6種類のモグラ
モグラと言われて一番イメージされるタイプのモグラ6種類を紹介します。
ぱっと見ると見分けがつかないのですが、よく見るとそれぞれ特徴を持っています。
アズマモグラ

【体色】
暗褐色から明褐色で平野部に住む大きいものは褐色化している。
【体重】
40~76g
【生息域】
田んぼの畦 畑 丘 河川敷 公園
【特徴】
中型のモグラで日本の固有種のモグラ。
主に東日本に生息しており、里山から山地まで広く生息しており最も人間に馴染みのあるモグラと言ってもいいくらい探せば身近にいるモグラである。
太平洋平野部に住む個体は大型で、日本海平野部の個体やそれに比べて小さい。
さらに山地にいる個体はもっと小さくなりコモグラと呼ばれることもある。
コウベモグラ

【体色】
暗赤褐色
【体重】
65~120g
【生息域】
田んぼの周り 畑 里山 森林
【特徴】
西日本を主な生息域にしている大型のモグラです。その体の大きさから生息域を拡大しアズマモグラを東へ追いやっている。
縄張り争いで長野県の天竜川では4年間に16kmもコウベモグラが生息域を拡大したという記録がある。
腹面にはミミズ臭を放つ臭腺を持っており、その独特の臭いから天敵に殺されても食べられずその亡骸が畑の端に転がっていることもある。
ミズラモグラ

【体色】
黒色~暗灰色だがその地方により特異に富む。体色が黒い個体は金属的な光沢を持つものもいる
【体重】
20~27g
【生息域】
低山~高山帯までブナが生えるような落葉広葉樹の森に暮らす
【特徴】
進化的にはヒミズとモグラの中間に位置する小型で原始的なモグラ。
本州だけにすみ、四国や吸収ではまだ確認されていない日本固有種。
生息域は青森から広島までで点在しており、小型ながら手は大きく40mmほどのトンネルと掘ることができる。
古来から日本に住んでいたモグラと考えられている。
鼻の先は太く短く長三角形でピンク色をしている。尾はモグラの中では比較的長く19~26mmある。
標高の高い山地を生息域にしており、世界で最も捕まえるのが難しいモグラと言われている。
サドモグラ

【体色】
夏毛は褐色 冬毛は暗褐色
【体重】
70~90g
【生息域】
田んぼの畦道 畑 荒れ地 河川敷 寺社
【特徴】
新潟県佐渡ヶ島だけに住む大型のモグラで日本固有種。主に平野部の水田は農地の周辺に生息する。
エサはミミズやケラなどの昆虫類を好食する。越後地方に住むエチゴモグラによく似ているが体が少し小さく染色体の構成が異なる。
体のわりに手は大きくそのサイズは25mm程度。
エチゴモグラ

【体色】
褐色。体毛はビロード状で毛は体に対して垂直に生えている。
【体重】
120~160g
【生息域】
田んぼの畦道 畑 河川敷
【特徴】
日本で最も大きい日本固有のモグラ。新潟県の新発田、五泉、新津、加茂、三条、弥彦を結ぶ線から西北側の平野に住む。
かつてはサドモグラとされていたが携帯的に大型で染色体核形が分化していることがわかり、現在では別種とされている。
大きな体同様にトンネルも大きく50mmほどの大きさになる。種子も食べるが昆虫、クモ、ムカデ、ヤスデ、ヒルを好む動物食。大好物はミミズ。
センカクモグラ

【体色】
背面は暗灰褐色 腹面は淡褐色
【体重】
42.7g
【生息域】
唯一の生息域魚釣島。農耕作地の荒れ地で採取された。
【特徴】
沖縄県尖閣諸島の魚釣島のみで生息が確認されている日本固有種のモグラ。
外見はアズマモグラの小型個体に似ている。1979年九州大学尖閣諸島学術調査隊により1個体だけ捕獲されている幻のモグラ。
領土問題の関係でその後の研究は進んでおらず捕獲されたメスの個体の標本は九州大学にある。
比較的手は小さく鼻は短く幅が広い。下方向に曲がっており鼻孔は側方に開いている。
各種モグラの生息域マップ

モグラの生息域はこの様になっておりサドモグラとエチゴモグラはその名の通りの場所に生息していることがわかります。
面白いのはコウベモグラがその生息域を北上させてアズマモグラと縄張り争いを繰り広げている点です。
ヒミズ亜科2種類のヒミズ
紹介する2種類のヒミズもモグラ科に属するモグラの仲間です。
ヒミズはモグラほど地中で過ごすわでではなく、地中と地上の真ん中あたりをウロウロします。ヒミズ⇨日見ず が語源のように日を見ない様な範囲で生活しています。
ヒミズ

【体色】
背側:黒銀色 腹側:淡黒色
【体重】
10~23g
【生息域】
低地から里山のある畑、耕地、河川敷、雑木林の落ち葉の層の下
【特徴】
日本固有種で池沼でも地下でも暮らすが地下に本格的な穴を掘ることはできない。
苔の下などにトンネルに似た通路を作る。
たまに種子を食べるが肉食でヒメヒミズとよく似ているが体は大きく生息地はヒメヒミズより低い。
ヒメヒミズ

【体色】
腹面は淡灰褐色 背面は黒灰褐色
【体重】
ヒミズより小型
【生息域】
標高の高い山地 高山の山林や苔がついたガレ場 渓流沿いの岩場
【特徴】
本州、四国、九州にすみヒミズよりも小型である。ヒミズよりも高い山地から亜高山帯にかけて生息するモグラの仲間。
日本固有種で行動形態はヒミズに似ているがトンネルは掘れず落ち葉層の下や地表でミミズ、昆虫類、クモ、ムカデなどを食べる。木に登ることもある。
一番多いのはコウベモグラ
モグラの中で最も個体数が多いと考えられているのはコウベモグラです。
コウベモグラの生息域は西日本が中心ですが、その生息域を徐々に北上させて分布の境目は太平洋側の富士山から日本海側の石川県金沢市を結ぶ線でここを境に2種類のモグラがせめぎあいをしています。
下のように西のコウベモグラ、東のアズマモグラと言った状況です。

コウベモグラVSアズマモグラ
モグラは非常に縄張り意識が強く、地中で2匹にモグラが遭遇するとどちらかが死ぬまで争い続けます。
こうして熾烈な縄張り争いが土の中で繰り広げられているのです。
体の大きさからコウベモグラのほうがアズマモグラより一回り大きいのでコウベモグラ優勢の状況となっています。
二種類ともに人間生活に最も身近な哺乳類で人知れず都会の真ん中にも生息しているのです。
実は絶滅危惧種のモグラたち
人間生活に身近なモグラと紹介しましたが、それはコウベモグラとアズマモグラの2種類であり後の4種類は実は絶滅危惧種なのです。
センカクモグラに至っては1971年にたった一回捕獲されただけの幻のモグラです。
種類 | |
アズマモグラ | 日本固有種 |
コウベモグラ | アジアに広く分布 |
ミズラモグラ | 準絶滅危惧 |
エチゴモグラ | 絶滅危惧IB類 |
サドモグラ | 準絶滅危惧 |
センカクモグラ | 絶滅危惧AI類 |
ヒミズ | 日本固有種 |
ヒメヒミズ | 日本固有種 |
このようにコウベモグラ以外は日本の固有種であり世界的に見ても貴重な種であることがわかります。
なので駆除する時はできれば殺さずに駆除したいですよね。
モグラ捕獲器を使った駆除だとモグラが捕獲器の中で餓死する可能性があるので、振動と音を使ったモグラ撃退器ならモグラを傷つけることなくモグラ退治できるのでおすすめです。

まとめ
日本に住むモグラ科の動物は8種類いてその殆どが日本固有種や絶滅が危惧されているモグラです。
コウベモグラとアズマモグラに関しては私達の生活に身近なモグラで、公園や空き地、河川敷などの地中で生活しています。
今度そういった場所に出かける時はモグラ塚がないか注意して歩いてみてください。そうすれば意外にモグラの息使いが感じられるかも知れません。
